お寿司とトマト

お寿司とトマトが好きです

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『自分を知るための社会学入門』 岩本 茂樹

著者の実体験や文学等の具体的エピソードをもとに、社会学を分かりやすく説明する

大学のテキストとして使用されているようだけど、とても読みやすかった。知りたいという気持ちに素養が追い付かない私でも楽しく読めた。

 

『思い出トランプ』 向田 邦子

決して特別な悪人ではない、どこにでもいる人々が持つ狡さや後ろめたさを、特別ではない日常の中で描いた13編

たしかに起こりえる話、少し目を凝らせば身近にもいそうな登場人物たちであり、日常の一部をきれいに切り取った感じがするけど、そこに漂う重く沈んだ空気がすごい。

 

『泥流地帯』 三浦 綾子

上富良野の市外からさらに奥に入った部落で貧しいながらも毎日を一生懸命に生きる人々に十勝岳大噴火による泥流がおそいかかる

大噴火に至るまでの何でもない生活が思っていたよりだいぶ長く丁寧に書かれているからこそ、噴火が起きてからの絶望感が凄い。ところどころ宗教色が出ているけど作者がクリスチャンだった。

 

『償いの雪が降る』 アレン・エスケンス

30年前に少女暴行殺人で有罪となったカールに大学生のジョーが授業の課題で彼の伝記を書くことになったが、カールの話を聞くうちにジョーは事件に疑問を抱き始める

章立てが細かいのが読みやすくてよい。好きな女の子や家族の事など本筋とは別の事柄も同時に動いていて、少しまだるっこしく感じたりもするけどそれぞれの人生に絡みつく物がより彼らを魅力的にしたと思う。

 

『桃尻語訳 枕草子 上』橋本 治 

枕草子を桃尻語(90年代の若い女性の言葉遣い)で現代語訳した作品

原文の理解しにくさは桃尻語でも変わらずなのは仕方ないけれど、今となっては桃尻語も古語みたいなもので、そのノリに乗れない辛さがある。挿絵はかわいかった。