『琥珀の夏』辻村 深月
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。
「問答」によって考え、そしてそれを言葉にする力を子供でも持てるようになる、そういうことなのかと思いきや、物語後半でやはり「正解」に誘導されていたことが分かる。曖昧な物は世の中にあるはずなのに「問答」にあがってしまえば正解ができてしまう。ということは問答の議題に挙げられないものもあるだろう。高尚な理念の元に集まったため矛盾を見ないふりしている大人には、矛盾をも受け止めようとしているミカに与えられるような言葉を持ち合わしていなかったのではないだろうか。
『魂のままに生きれば、今日やることは今日わかる つれづれノート40』銀色 夏生
40は新作。
コロナ禍で銀色さんの生活はどうなるんだろうと思っていて結構楽しみにしていた今作。一家3人予想以上に変わらず過ごしていて「お……おう……」となった。
『重慶大厦百景』河畑 悠
香港のネイザンロードにそびえたつ重慶大厦(チョンキンマンション)の写真集。重慶大厦で働く人々やこの場所に集まる旅人たちへのインタビューも掲載
以前NHKの72時間でも取り上げられた場所だなあと思い手に取った。こういう多様な国籍の者たちが集まる~系の場所は実際のところは割と偏っているよね。
『バートラム・ホテルにて』アガサ・クリスティー
大都会ロンドンの一画に、エドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテル。「昔ながら」で「本物」が集まるホテルだが、その平和で静穏なムードの裏でうごめく陰謀。ホテルで休暇を過ごしていたミス・マープルがそれらを暴いていく
ジョーン・ヒクソン版で先に映像を見ていたのでホテルの描写に無理なくついていけて良かった。真犯人は最終的にどうなるんだろうね。
『月イチ台北どローカル日記』森井 ユカ
東京の事務所を引き払い台北に事務所を構え、台北東京半々暮らしを始める著者の体験記
コロナ直前ってLCCの台頭やネット環境の進化によりこういう人たちがちょうど増えていたと思うんだけど、こういう人たちはこの2年ほどどうしていたんだろうか。