お寿司とトマト

お寿司とトマトが好きです

悲しい知らせの日

なんとなくつけていたテレビに若手役者の訃報が流れた。私にとって特別な人だったわけではないけど、おそらく彼が10代の頃から見続けていて、参加した作品を見ずとも、どんな作品に参加していたのかはだいたい知っている、そんな好きか嫌いかで言えば確実に好きな俳優だった。ここ数年で明らかに新しい才能が花開いたようで、彼の歌声とダンスには本当に驚いた。確実にイケメン若手俳優の枠からは飛び出したはずだ。まだ明らかにその枠での扱いだった時のとある番組で、「最近は家庭菜園をしている」と話していて「ヤンキーややんちゃな役が多かったけど、なんかこうやって見ると落ち着いた印象になったな」なんて思った。あの時、今思うとまだ20代も半ばだったはず。落ち着くには早すぎだけど、実際はそういう人だったのだろう。

作品を通して役者としての彼だけを見ていればここまでショックを受けなかったかもしれない。しかし、最近は台詞ではない、彼自身の言葉を聞く機会が多かった。もちろんそれも仕事であることには違いないけど、新しい物に接したときの真摯な姿勢とキラキラした瞳。誰かに向けるクシャッとした笑顔。あれがもう観られなくなるのはこんなに辛いことなんだ。

まだ30歳、役者としてはこれからたくさんの新しい扉を開けることになっただろうし、その力も十分にあったと思う。明らかに多くの努力で手に入れたと思える力だ。昔、慣れない記者会見で、言葉を発する度に体をくねくね動かしていた彼を見てたから本当にそう思う。

ファンというわけでもない、近親者でもない、友人でもない、そんな私でもこんなに辛い。彼の未来に広がっていた多くの可能性が無くなったことがこんなに悲しい。