『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』北村 紗衣
映画やドラマ、演劇をフェミニストの視点で自由に読み解く
フェミニストという言葉が侮蔑的な呼称となりかけている昨今、正直フェミニスト・フェミニズムがよく分かっていない私。「作品をフェミニストの視点で」とはいうものの、もはやこじつけではという感じ(二次創作の考察厨みたい?)でどうにもしっくりこずフェミニズムの入門編にならなかったな。
『死刑執行人サンソン』安達 正勝
代々パリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であったャルル─アンリ・サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。
王の名のもとに死刑を行っているのに被差別民となってしまう矛盾。先祖や父親を否定しないように別の職業につくことが認められないという考え方にはなるほどと思った。敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していながら死刑を執行する。すべてが重い。
『心理学の神話をめぐって』
「狼に育てられた少女は実在する」「心理学を学ぶと他人の心を読めるようになる」、そんな情報を鵜呑みにしてしまう前に立ち止まって考えよう
「第1章 人間の心のクセを紐解く」で正常性バイアス等名づけられた思考の癖の数々が次々に説明されて、読めば読むほど「人は自分で考えていると思っているが、結局決められたルールの上でしか考えられないのでは」となり少なからずショックを受けてしまった。
『依存』/『黒の貴婦人』/『身代わり』西澤 保彦
タック&タカチシリーズ
再読
『注文の多い注文書』小川 洋子
ないものがある「クラフト・エヴィング商會」に寄せられた5件の注文。
感想を書こうと思って調べたら創作ユニットとして「クラフト・エヴィング商會」があるのね。納められた品物の写真はもちろん注文書も納品書もじっくり丁寧に読んでしまう、そんな作品。
『優しい鬼』レアード・ハント
南北戦争以前、横暴な夫のもとに騙されて来た女性が、二人の娘たちと暮らし始める。
主人公の人種がなかなか定まらず、家族構成も文章から推測していく必要があるのに加え、時系列通りに書かれていない、語り手が変わるといった書き方で読み進めるのがなかなか難しかったが、読み終えた後すぐ2週目に挑んだ。鬼の正体が怖い。
『西洋美術入門 絵画の見かた』池上 英洋
作品が作成された当時は、みな了解の上だった名画の中にある隠されたテーマ、驚くべき超絶技巧などのひみつを、実際の絵を見ながら解き明かしていく。
似たポーズ、構図で描かれた裸婦絵も、象徴であるバラを持たせてヴィーナスを表した物は評価され、首の黒いリボンや脱げかけたサンダルで娼婦を表現したものは糾弾されたのだそう。
『QED ~flumen~ ホームズの真実』高田 崇史
再読。
発売された当初は「二人はつきあってるんだろうけど、なんかあの曖昧だけど確実に普通ではない謎の近すぎる距離感が悪化した可能性もゼロではない……」なんて思っていたけど、現時点での既刊をすべて読んだうえで読み返すと確実にお付き合い始まってますな。