お寿司とトマト

お寿司とトマトが好きです

休日家に一日いると「時間を無駄にした」と口にするような夫が、先週からご飯とお風呂トイレ以外はずっとベッドで横になっている。夫のことを思うと親にも言えずツイッターにも書けずで、現世から一番遠い気がするここに吐き出したい。意外とツイッターはこういう重い愚痴には向いていない。

思えばおかしくなり始めていたことには3月初旬には気が付いていて、1週間ぐらい様子を見てから「クリニックに行ったほうが良いのではないか」とおそるおそる進言すると、自身でも気が付いていたのか夫は素直にそれを受けて予約。本当は飛び込みでも行けるのではないかと思って電話させてみたのだけど、最短でも1週間後とのこと。話はずれるけれど、いま心療内科はどこも混んでいる。私が言っているところの先生は顔を合わせるたびに顔色が悪くなり、サイズが縮んでいるような気がするぐらいだ。閑話休題、それまでは何とか持つかなと思っていたけど、土曜のお墓詣り後に寝込み、日曜はいつも早起きしていく趣味のスポーツにもいかずベッドで寝たきり。そして翌月曜の勤務後、気晴らしで行ったその趣味の先で失神からの救急病院へ搬送。もうそこからは会社に行くことなくこのまま休職です。夫は病院のベッドで少し暴れた。倒れたことがショックだったのだろう。

なんかもうどうしていいか分からない。

過去、自分が倒れた時はまだ独身で、夫は海外留学中。かといって親に頼ることもしなかった。親と言えど他人。自分の気持ちがわかるはずもなく、話下手の私には伝える力もない。それに他者と接するだけでストレスがたまるという私の性格もある。一人でとことん落ち込んでなんとか復活したけど(症状が軽かったことが一番の幸運)、それが自分にだけ効く方法ということは自覚しているので、繰り返すけどなんかもうどうしていいか分からない。

そもそも私は別件で15年もの長い間、深く深く悩んでいたことがあったが、今年に入ってからあることをきっかけに爆発した。というか心が完全に追い詰められて、それを何とか夫に言葉にできたところだった。改善に向けてお互いが動き始めた時だったのに、こんなことになった。夫が今それどころじゃなくなってしまったことは痛いほどに理解できているけど、それでも心が付いていかない。自分がご飯も食べられなくなって涙が止まらず夜も眠れなくて、怖くて夫に触れられなくなったことはこのまま流されてしまうのかという思いが頭から離れてくれない。毎日同じ時間に欠かさず飲む薬など全く無意味なものになった。それでも、無意味でも私は飲み続けている。毎日その時間にあの辛い気持ちがフラッシュバックする。そして夫は私がその件でここまで追い詰められていたことなど知らないだろうと思うと、今堂々と体調を崩せる夫を見るだけで悲しくなる時もある。そんなこと考えるのは間違っているのに。もっと優しくしてあげなくてはいけないのに。

19~26

『お縫い子テルミー』栗田 有起

・流しのお縫い子・テルミーが島から上京し、歌舞伎町で恋に落ちる

素敵な話だった。邦画の雰囲気に合いそうなので映像化されてもいけるのではと思った。短編ではなくて1冊分として読みたかったな。この著者の他の作品も読んでみようと思う。

つむじ風食堂の夜吉田篤弘 

・十字の角にあるために常につむじ風が吹くところから「つむじ風食堂」と呼ばれている食堂に集う人々が織りなす、静かな夜のような物語。

先日読んだ本の前作に当たる本だと調べて読んでみたけど、舞台である土地は同じだけど姉は?方向音痴の姉が出てるんじゃなかったっけ?

『R.P.G.』宮部みゆき

・住宅街で殺された男性はインターネットの掲示板上で「疑似家族」を作っていた

読んでないだろうと手に取ったら既読本でした。だけれども面白いので再読。

『孤宿の人』上下 宮部みゆき

・阿呆の「ほう」と名づけられた少女が江戸から金比羅代参に連れ出され、岐国・丸海藩に捨て子同然置き去りにされる

最後は涙がとまらず頭がガンガンと痛む。泣く作品は本でも映画でも避けてるのでこういう予想外の出会いは辛い…とカバーに隠されていた裏表紙のあらすじを読んでみたら『感涙の傑作』と書いてあって……私は……。それにしても架空の藩を作り出したりと、何もないところからここまでの物語を作り出すって小説家というのは本当にすごい。

『ハミザベス』栗田 有起

・顔も知らない父親から遺産としてのマンションを、遺産管理人からハムスターを引き継ぐことになった

この著者の書く主人公は自らの歪みを歪みとして正すことなく受け入れ自分の人生を生きていっている感じがする。強いというよりも、しなやか。

『鬼の棲む家』吉村 達也

・新婚の上村華子は夫の亮介を殺害した。背景にDVがあったこと知った華子の父親は娘の無罪を勝ち取るために動き出す

勝手にホラー小説だと思い避けてたけど、内容紹介からミステリーであることを知り読んでみた。読み終わった後に「あ、あの部分はどういう風に書かれていたっけ?」等と読み直してしまう本。

『酸っぱいブドウ/はりねずみ』ザカリーヤー・ターミル

・寓話性と風刺性に満ちたシリア文学、短編集

文化が違いすぎて、なかなかストンと体に入っていかない。やはりイスラムやシリアの文化をある程度は知っている方がよく、本を読むにも知識が必要なことを改めて感じた。

15~18

つれづれノート』銀色 夏生

つれづれノート第1作目

久しぶりに読み返してみるかと思ったけれど、去年も同じように考えて読み直していた。

侠飯福澤徹三 

・トラブルに巻き込まれ突然家にやくざが転がり込んできてしまった大学生との不思議な生活(主にご飯)

漫画が原作かと思っていたけど小説だったのか。最後まで面白く読めたし、読了後はむしろすがすがしい気持ちになった。なんでだ。

『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー 

・小論文や文章表現に精通している著者が教える実践的なコミュニケーション技術

おとなの小論文教室って一時期話題になったような。参考になったかは分からないけど、いくつか「なるほど」と思える個所はあった。今、著者について調べてみたけど完全に男性かと思っていたけど女性だった。

『夫婦で行く旅の食日記』 清水 義範 

・目と舌の記憶だけを頼りに、旅先で出た料理を再現することを楽しみにしているご夫婦の食日記

レシピが載っている等、なかなか実用的。日記としては「お酒好きだと大変だな~」という感想

 

10~14

『ニシノユキヒコの恋と冒険 』川上 弘美

・ニシノユキヒコについて10人の女性が語る

面白かったんだけど感想を書くとなると思い浮かばない中、後書きの『ニシノユキヒコとは、私たちがつかみそこねた愛の名前なのだ。あるいはなくした時間そのものだといってもいいのかもしれない』を読んでこれだ!と思った。

『こんなに厳しい!世界の校則』二宮 皓 

・「日本ほど校則の厳しい国はない」と思ったら大間違い

日本ほど厳しい国はないと思ったことはないけれど、日本にはない宗教観・倫理観で外国にもなかなか厳しい世界があった。

QED ~ortus~白山の頻闇』高田 崇史 

・おなじみQEDシリーズ

今回は読み進めるのがなかなか大変だった。3歩進んで2歩下がるを地で行った感じ。タタルさんと奈々ちゃんの関係はどうなってんだい

『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 高野 秀行, 清水 克行 

・ノンフィクション作家と歴史家による対談

現代ソマリランドと室町日本は驚くほど似ているという対談。教養のある人同士が語るとこんなに幅のある対談になるんだな

『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田 篤弘 

路面電車が走る町に越して来た青年と青年が出会う人々が繰り広げる温かい物語

正直言って、ありそうな設定でどこかで読んだような感じなのだけど、気持ちよく読み終えることができた。姉妹作があることをしらなかったので、前作を読む予定。

妻籠宿・馬籠宿・奈良井宿2日目

馬籠を昨日まわってしまったので(大体いつもこんな感じ)今日は夫が調べてくれた奈良井宿へ。

9時台にホテルの送迎バスで中津川駅へ。車窓の景色は電車が進むほどにどんどん雪深くなっていく。到着した奈良井はちらほら雪が降り、中津川よりだいぶ寒い。

奈良井宿は駅からすぐで、駅の目の前の道を歩き出したら、そこはもう奈良井宿という感じ。山深い観光地へこんなアクセスのいい駅は珍しい。

ここも観光客が少なく、店も閉まっているのか開いているのか分かりにくいけれど、個人的には今回の旅行で訪れた宿場町の中でここが一番好き。妻籠宿でも「生活感」は感じたけれど、ここはその生活感と歴史のバランスが大変よろしゅうございます。

一通りみて、駅隣の蕎麦屋さんでお昼を食べて帰りのあとは電車を待つだけ。

私はこの宿場町が気に入ったので、駅舎で時間をつぶす夫と別れて15分ぐらい再び散策。歩いていると「昨日は観光客が全然来なかったけれど、今日はまあまあだね」なんて会話が聞こえてきたけど、その今日も私から見ると決して多いとは思えないので、こんなにいいところなんだからもっと人が来ればよいのに……なんて。私はこの宿場町を知らなかったので、そういう人がもっといるのではないかな。朝ドラの舞台になったらしいけど、それ以降の情報は更新されていない感じ。

帰りは南木曽から特急に乗るはずだったけれど、往復で買った中津川までの切符があるし、中津川のほうが駅も大きいからと夫の提案で南木曽を通り越し中津川で下車。駅近くの観光センターでお土産を買う等して帰りの特急に乗り旅行は終了。

 

妻籠宿・馬籠宿・奈良井宿1泊2日

東京駅から新幹線で名古屋まで出て、特急で中津川。そして乗り換えて南木曽に到着。妻籠宿へは南木曽からはバスで。

妻籠宿の街並みは思わず声が出てしまうほど。以前訪れた別の宿場町のように全てが店舗というわけでもなく、空気がとても落ちついている。旅行前に調べた時は観光客だらけという印象を受けたけれど、その日はたまたま人が少なかったのか、シンとした空気が流れてる。お店も閉まっているのか開いてるのかよくわからない。桝形(敵の侵入を阻むために道を直角に折り曲げる)の跡周辺が特に当時の面影を残していて(多分)とても浮かれてしまった。

前述のとおり店をひやかして歩くような雰囲気ではないので、結構あっという間に見終わってしまう。五平餅を食べて、雰囲気の良いお店で栗ぜんざい(夫は栗入りぜんざい)を頂きながらバスの時間までゆっくり。

まだ時間があるので次は明日行く予定だった馬籠宿へ。

馬籠宿は観光地という感じ。雨も降り始めたので端から端まで往復したところで終了。ホテルに向かうためにまたバスに乗って電車に乗って……と面倒な移動をするぐらいなら値段も変わらないだろうとタクシーでホテルへ。すると10分ほどで到着し、値段もお安い。夫曰く、電車に乗っていたら2時間ぐらいかかっただろうとのこと。

ホテルに着いたら大浴場でお風呂。部屋でのんびりしてから宿泊者得点のスパへ。スパのレストランで夕ご飯を食べて今日は終了。

スパはいまいちですぐに部屋に戻ってきたけれど、大浴場はそのスパのおかげか常に空いていて最高でした。お湯はぬめりがあり、とても肌に優しかった。

1~9

『集合住宅物語』植田実

・首都圏の主だった集合住宅を訪ね歩く

写真も素晴らしかったし文章も、建物自体のこと、またそこに住んでいる人たちの生活のこととバランスよく書かれていてとても良い本でした。一番驚いたのはコープオリンピアで、中があんな造りとは。

『デジタル新時代を勝ち抜く明朗経営 明豊ファシリティワークスの挑戦』茂木 俊輔

・「フィービジネス」でCMビジネスの市場で切り開いてきた明豊ファシリティワークスのの強さの秘密に迫る

ちょっとした理由があって読んだ本。提灯記事ではあるだろうけれどなかなか面白かった。2002年のころからモバイルシステムをいかに効率的に使うかを考えていたことや、データの蓄積など先を見ていたのだなあと思う。

『ぷかぷか浮かびとこれから つれづれノート32』 銀色 夏生

・言わずと知れたつれづれノート

雰囲気が良かった。同じようなことを繰り返し書いているなんて意見も聞くけれど、それは著者の思考の過程で必要なものなのだろうし、これはそういう本だから

『ドミトリーともきんす 』 高野 文子

・「科学者たちの言葉」をテーマにして自然科学本を紹介してくれる

架空の学生寮を舞台に漫画と文章で、朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹といった科学者たちの言葉や書籍を紹介。彼らはこういう発言をし、このような本を出していたんだなと知ることができた。 

『世界クッキー』

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』川上 未映子

・関西弁(大阪弁?)で綴られる随筆集

好きな人は本当にたまらないだろうと思う文章。私も10代だったらこの強烈な文章に影響されたかもしれない。けれど、今の私には無理でした。町田康を勧められて読んだけど断念した時の気持ちを思い出した。ただ、それでもなんとか読み進めてると、たまにハッと目が覚めるような文章も。

『乳と卵 』 川上 未映子

豊胸手術を受けようと上京してきた姉、その姪。そしてその妹である「わたし」が過ごした三日間の物語

随筆集と違ってぐいぐい読み進むことができた。髪の毛やロボコンなど随筆で書かれていた著者の思い出と重なり合ってふふふとなった。 

『名もなき花の―紅雲町珈琲屋こよみ 』 吉永 南央

・喫茶店を営む老女、杉浦草が身の回りで起きる絡まった出来事をほどいていく

よくある、酸いも甘いもかぎ分け人生経験豊富で仏のようなお婆さんという主人公ではないところが良かったけれど、お話として面白いかと問われたら個人的にはちょっと……という感じ。なんとなく主人公の独りよがりな部分も出てたしな。あと、これがシリーズ3作目とは気づかなかった。道理で設定紹介が足りないと思ったわけだ。 

『光の帝国』恩田陸

・穏やかで知的、権力を持つことを好まずに生きる不思議な能力を持つ常野一族を描くファンタジー

『青い炎』で軽いトラウマ(悲しすぎて)を持って以来この作者の本は避けていたけど、軽く目を通した最初のお話が楽しそうだったので手に取りました。不思議な能力を持つ常野という一族について時代や場所を超え書かれているのですが、最後の最後、これが集大成の話だという最終話の意味が掴み切れなくて不完全燃焼。でも不思議とまた読み返したくなる魅力があります。